削るむし歯、削らないむし歯。その違いってなに??【現役歯科医師が解説】

むし歯だけど、治療しなくていい

このように歯医者で言われたことがある人はいるんじゃないでしょうか?

「むし歯なのに治療しなくていいの?」「じゃあ勝手に治るの?」「そもそもどんなむし歯だったら治療が必要なの?」

このような疑問が頭に思い浮かんだ人のために、現役歯科医師である僕が解説させていただきます。

治療しなくてよかったのは“初期むし歯”だったから

先に答えを言うと、それは“初期むし歯”だったからだと思います。

むし歯はそもそも自然に消えてなくなることはありません。

ですが、進行を止めることはできます。

しかもうまくいけば、そのままずっと治療せずに置いとくことができますし、むしろその場合下手に治療介入しない方が良いです。

このあたりを解説するために、少し「歯の基礎知識」をお話ししたいと思います。

歯の基礎知識

歯の構造

歯は上の図のように、一番外側からエナメル質象牙質歯髄(歯の神経)の3つの構造からなります。

初期むし歯は、一番外側のエナメル質に限局しているむし歯のことです。

よく検診の時とかに「C1(シーワン)」って歯医者の先生が言っているのを聞いたことがありませんか?

C1がまさに初期むし歯を指します。

ではなぜ、初期むし歯は治療しなくていいのでしょうか?

それはエナメル質の『再石灰化』がキーとなります。

歯の再石灰化

むし歯の原因となるむし歯菌は、食べ物の糖をエサにして酸を出します。

この酸が、歯の成分であるカルシウムやリンを溶かします。

このことを脱灰(だっかい)と言います。

この脱灰が進行し、むし歯が象牙質まで達すると、治療の対象となります。

この状態を「C2(シーツー)」と言います。

ですが、まだ初期むし歯の状態であれば、再石灰化によって修復は可能です。

再石灰化とは、唾液に豊富に含まれるカルシウムやリンを歯の表面に補充されることです。

上の図のように、脱灰と再石灰化のバランスが脱灰の方に傾くと、むし歯が進行しますし、再石灰化に傾くと、エナメル質の修復が起こって歯が守られると言うわけです。

ちなみに先程、下手に治療しない方がいいと言ったのは、このエナメル質がむし歯に対する最大の防御だからです。

僕ら歯科医師が治療すると言っても、できることはむし歯の穴に人工物を埋めるだけです。

埋めた人工物にはもちろん再石灰化は起きません。

なので、本来のエナメル質が守られることが大切なのです。

再石灰化を促進させる方法

再石灰化を促進させる方法は、おもに以下のような方法があります。

  1. フッ素を活用する
  2. 唾液腺マッサージをする
  3. キシリトールガムをかむ
フッ素を活用する

フッ素は歯の再石灰化を促進させる作用があります。

フッ素を活用する方法は、フッ素が含まれた歯磨き粉を使うのが一番簡単な方法です。

市販の歯磨き粉にもフッ素は大抵含まれています。

ですが、濃度は低いです。

より効果的にフッ素を取り入れるためには、歯科医院で売られている歯磨き粉がおすすめです。

あと、さらに効果的な方法は、歯磨きの後にうがいをしないことです。

フッ素は水で簡単に洗い流されてしまいます。

なので、特に寝る前は歯磨きした後はうがいをせずの寝た方が、お口の中にフッ素が停滞して、よりむし歯予防に繋がります。

唾液腺マッサージをする

唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺があります。

それを上の図のように刺激してあげると、唾液がよく分泌されます。

あとは水分をよくとることも意識してください。

キシリトールガムをかむ

キシリトールは甘いですが、むし歯にはなりません。

しかもガムであれば、よく噛めば噛むほど唾液が分泌され、より再石灰化が高まります。

「歯に健康マーク」というのがあるので、それが表記されているものがおすすめです。

「歯に健康マーク」の画像検索結果

まとめ

初期むし歯(エナメル質に限局したむし歯)であれば、再石灰化により歯が守られるので、治療する必要がない。むしろ、治療しない方が、人工物を詰めるよりも歯が長持ちしやすい。

再石灰化を促す方法としては、フッ素の活用、唾液腺マッサージ、キシリトールガムをかむといった方法がある。

もしよかったら、実践してみてください。

それでは。

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