歯医者の思い出①

こんにちは、HACHIMITSUです!

今日は、僕が歯科医師になってからの思い出を語りたいと思います。

今日のお話は、僕が歯科医師一年目の頃のお話です。

入れ歯を作ってほしいという希望の患者さんが来院されました。

93歳の男性の方でした。

大変ご高齢でしたが、すごくしっかりしていて自分の意見を強く仰る方でした。

ご希望通り、新しく入れ歯を作り始めたのですが、

なにぶん、まだ一年目なので僕の手技や説明が未熟だったのでしょう

その患者さんから毎回怒られていました。

ことあるごとに「早くしろ!」だの、僕が説明したことも後から「そんなの聞いてない!ちゃんと説明しろ!」と怒鳴られる始末。

正直言って、苦手な患者さんでした。

まぁそれでも回数を重ねるごとに少しずつではありますが、

世間話もできるようになりました。

ついに次回入れ歯が完成しますと伝えると、最後は初めて笑顔を見せてくださって、

「楽しみにしてるわ。」

と、言ってくださいました。

そしてついに入れ歯完成の日

僕自身喜んでもらえるかなとワクワクしていました。

ところが、待合室にはその患者さんの姿はなく、

患者さんの息子さんが来られていました。

話を聞くと、

つい2日前に亡くなられたとのことでした。

あまりに突然のことで、すぐには理解できませんでした。

つい1週間前まで、あんなにしっかりしていて最後に笑顔まで見せてくれていたのに

ただ息子さんがこう言いました。

「新しい入れ歯ができるのをすごく楽しみにしてたんですよ。なので、最後に渡してやりたいので新しい入れ歯頂けませんか?」

もちろんです。と言って、僕は息子さんに入れ歯をお渡ししました。

息子さんはその入れ歯を大事に大事に持って帰っていきました。

僕はこのことから、

日々当たり前のようにしている治療が

患者さんにとっては大きな出来事だったりする

ということを学びました。

何気ない治療でも

患者さんにとって治療というのは怖いものです。

人によっては、嫌な気持ちを抑えながら来てくれているでしょう。

何気なくつける被せ物や入れ歯でも

患者さんによっては見た目に大きく影響します。

人によっては、僕らが想像する以上に期待を膨らませて来ているでしょう

僕たち歯科医師は、そういう患者さんのあらゆる感情を受け止めながら治療に専念しなければなりません。

なので、治療一つ一つ丁寧にやらなければなりません。

それがきちんとできていれば、たくさんの患者さんを笑顔にできる

それをあの患者さんから学ばせていただきました。

ありがとうございました。

本当に今でも当時のことは鮮明に覚えてます。

それだけ大事なことを学ばせていただきました。

またこういう形で、歯科医師になってからの思い出をお話ししたいと思います。

それでは、また。

コメント

タイトルとURLをコピーしました