訪問歯科で思うこと【老老介護・認認介護の問題】

こんにちは。

私は普段、都心部にある歯科医院で勤務しているので、

患者さんの対象は主に歯科医院まで不自由なく通院される方々です。

ただ、週に1回郊外へ赴き、訪問診療も行っております。

訪問歯科とは、普段歯科医院に通院することが困難な状態の患者さんの家や施設を訪問し、歯科治療を行うというものです。

そこでは、主に寝たきりや重度の認知症などの様々な患者さんに遭遇します。

そして、その患者さんを介護されているのは往々にしてご高齢のご家族の方です。

今後日本の超高齢化社会はさらに進行していく中で、

高齢者が高齢者を介護する(老老介護)や、はたまた認知症の方が認知症の患者さんを介護する(認認介護)というような問題が今後も増えていくでしょう。

実は、私の祖母がここ最近急激に認知症の症状が強くなり、おもに面倒をみているのが私の母なのですが、本当にストレスを抱えている状態なのです。

将来的に自分の両親が認知症などになったときに今度は自分が介護をしないといけないと思うので、

介護というのは今のうちから意識しておかないといけない問題だと最近つくづく感じます。

そこで今日は、その老老介護や認認介護の現状についてお話したいと思います。

老老介護、認認介護の問題点

老老介護の問題点

介護と聞くと、体力的にきついイメージないですか?

私自身が介護の経験がないので、訪問先の介護士さんに話を聞くと、やはり腰痛は切っても切れない関係だとお話されました。

つまり、肉体的な負担が大きいのは確かです。

それを高齢者の方が担うのはさらに大変なことは想像に難くないでしょう。

それだけでなく、精神的な負担も大きいです。

そして、肉体的・精神的な限界を迎えると、介護者本人も第三者のサポートが必要となる、いわゆる「共倒れ」の状態になってしまいます。

ましてや介護のストレスで認知症を引き起こしてしまうと、この後に述べる認認介護に発展していきます。

 

認認介護の問題点

認認介護というと、説明しなくてもどれだけ問題なことかはなんとなくでもイメージできると思います。

例えば、食事や排泄などの世話をしたかどうかが、介護者にもわからなくなってしまいます。

認知症の症状の強さにもよりますが、本来介護者にも第三者のサポートが必要な状態です。

ですが、本人にその自覚がなかったりして認認介護の状態に陥ってしまうのです。

老老介護に陥るメカニズム

平均寿命と健康寿命の差

・健康寿命・・・介護なしで日常生活を営める年齢的な期限のこと。

健康寿命〜平均寿命までの期間は、「要介護期間」と考えられます。

健康寿命平均寿命要介護期間
男性70.42歳79.55歳9.13年
女性73.62歳86.30歳12.68年
厚生労働省による発表を参考(2020年)

上の表から、約10年は介護が必要な状態にあるということです。

つまり、例えば親の介護が始まった時が50代だったのが、介護を続けていくうちに60歳を超え、老老介護に突入するという流れになります。

核家族化

独立して別居する子供世帯の家庭が増えたことにより、核家族化が進みました。

子供世帯との住まいが近いならまだしも、遠方に住んでいると子供に助けを求められず、高齢夫婦間での老老介護を余儀なくされます。

また、子供に世話になるのを「情けない」とか「恥ずかしい」と考え、配偶者に介護されることを選ぶ人もいます。

他人に助けを求めることへの抵抗感

先程も述べましたが、他人に助けを求めることに負い目を感じる傾向があります。

特に介護では入浴や排泄などデリケートな領域もケアするので、第三者に任せることに抵抗を感じます。


 

歯科医師としてできること

私たち歯科医師が介護を必要にしている方々にできることはやはり口腔ケアが第一です。

ありがたいことにご自宅まで出向くだけでも手を合わせて喜ばれることもあります。

介護は肉体的にも精神的にも大変だと思います。

やらなければならないことがたくさんある中で、私たちが口腔ケアに携わるだけでも介護者の方からすると、きっと力になれているのでしょう。

そして、私個人としては、積極的に介護者の方のお話も聞くようにしています。

それは話し相手になることでほんの少しかもしれないですけど、介護者の方の精神的なケアもできたらという思いです。

私たちができることはほんの微々たるものかもしれませんが、

それでも介護者の方の力になれていたら幸せです。

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